十分の愉楽

『日曜日の悪戯』

●渋谷シネクイントへ『約三十の嘘』を見に行く。昨日、パルコのシネマ株主招待券を人からもらって、これを使えばシネクイントの映画はただで見られるみたいだけど、『約三十の嘘』は前売り券を持っていて、そればかりか、次にシネクイントで上映される『マシニスト』の前売り券まですでに買ってしまっている。もったいないことをした。
●その後、シネ・ラ・セットへ移動し、アンダー10ミニッツデジタルシネマフェスティバルを見る。「デジタルであること、10分以内であること」を条件に映像作品を公募したフェスティバルで、現在、一般観客による投票審査期間中。ぼくがスタッフとして撮影に参加した、高野雄宇監督『日曜日の悪戯』(写真)がノミネートされ、上映されている。
●それから、同じ高野監督のインディーズムービー・フェスティバル入選作品『MANEATER in the woods』のDVDが全国のTSUTAYAでレンタルおよび販売中。と監督が書いてくれというので書いた。
●アンダー10ミニッツデジタルシネマフェスティバルのノミネート作品には、10分以内という制約からか、きちんと物語を語ろうとしている作品は少なかった。10分という時間は、映画というフォーマットを基準にするとあまりにも短い。でも、優れたポップソングは、5分間に豊かな物語を詰め込むことができる。ポップミュージックで10分の曲といったら大作だ。10分の短編にはそれにふさわしい語り口があるはずで、それは長編映画の語り口とは異なるものだろう。「一刻に永遠をつかむ」と言った詩人がいたけれども、詩には凝縮されたことばが用いられていて、では、凝縮された映像とはなんだろうと考えてみる。十分を千年のように感じさせる映像というものが果たしてあるだろうか。