のど飴の副作用

●咳が止まらない。先々週に高熱を出してぶっ倒れてから、熱はひいたものの咳だけが未だに止まらない。こういうときは薬に頼ってもだめで、ぼくは過去にあらゆる種類の咳止め薬を試してきたけれど、これといった効果はなく、結局自然に咳が収まるのを待つしかないということは先刻承知である。咳はひたすら耐え忍ぶしかない厄介な病だ。人間とは弱いもので、そんなとき、のど飴の誘惑に抗うことは難しい。のど飴をなめている間はつらく苦しい咳をおさえ込むことができ、口の中ののど飴が溶けきるやいなや、すかさず次の一粒、それが溶けてなくなるとまた次の一粒と、次々とのど飴を口に放り込み続け、一袋が数時間で空になる。そして気がつくと、新たなのど飴の袋を求めてコンビニに走っている。こうなるともう、立派な「のど飴依存症」である。
●昨日見た映画『約三十の嘘』の椎名桔平も、駅の売店で大量ののど飴を買い込み、列車に乗っている間(すなわち劇中ずっと)ひっきりなしにのど飴をなめている。これもまた、のど飴依存症の一症例といえようが、彼がのど飴を手放せない理由が心因性のものであるところは特殊症例として一考に値するだろう(その理由については映画を見てください)。
●さて、のど飴依存症の典型的な副作用としては、舌の感覚が麻痺し、味覚が鈍感になることがあげられる。ぼくも先日、美味と噂のローマイヤのチーズケーキを食する機会があったのだが、長時間にわたるのど飴の継続摂取によりすっかり感覚を狂わされたぼくの舌はケーキの濃厚な風味を十分に堪能することができず、非常に悔しい思いをしたものだ。
●そこで、ぼくはのど飴製造メーカー各社に提案したいのだが、のど飴の過剰摂取が及ぼす影響に対して消費者の注意を促す一文をパッケージに掲載してみてはどうだろう。「あなたの味覚を損なうおそれがありますので、なめすぎに注意しましょう。」これって逆に消費者なめてますか?