真夏のボート

zazou2005-08-09

もしも僕が消えたら、君が見つけ出してくれ
        ニーネ「酔っぱらっている」


●このところすっかり更新が滞っていたのは「呑都」上映用の短編を制作していたからで、その制作過程を書いておこうと思う。
●まず、「呑都」でぼくの作品を上映したいという連絡をもらったのは、ぼくがまだ京都にいたときで、そのときは『Light My Fire』を上映させてほしいという話で、すぐOKしたのだけど、せっかく上映の機会をもらえるんだったら新作を撮ろうと思ったのだった。素材の受け渡しが8月8日ということで、7月30日に京都から帰って来たので、10日あればなんとかなると思っていたのだけど、風邪をひいて体調が悪かったりで、準備がなかなか進まない。『LMF』のときも、ロケハンしてシナリオを書き上げたのが撮影日の一週間前で、それからキャスティングという突貫工事だったわけだけど、今回はそれを上回る突貫ぶりで、シナリオが上がったのが3日の深夜(京都行きの前に書いていたシナリオは別の企画用です)。シナリオ作りと並行してキャスティングとスタッフィングを進めて、5日にロケハン行って、その夜、スタッフ・キャストの顔合わせ/打ち合わせ。で、翌6日に撮影。という通常ありえないスケジューリングだったわけですが、ついて来てくれたキャスト/スタッフに感謝。
●『LMF』の撮影は2月の特に冷え込んだ日で、極寒の中、屋外で撮影して役者さんに風邪をひかせてしまったりしたのだけど、今回の撮影は逆に猛暑で、ほぼ全編ボート上での撮影なので日差しを避ける場所もなく、悪くすると熱中症になったりするのではないかという不安を抱えながらも、撮影は無事3時間で終了。役者さんもスタッフもボートに乗っての撮影は、カメラとキャストの位置が安定せず、なかなか大変ではあった。自分の作品の撮影となると、いつもテンパってしまうぼくなわけだけど、今回は撮影中、双眼鏡でスパイされようが、愛の讃歌が吹き荒れようが、とくにうろたえることなく落ち着いて撮影することができたのは、多少経験を積んで成長したということなのかな。
●撮影後、すぐ編集に取りかからなければいけなかったのだけど、6日は撮影打ち上げで6時間近く飲んで、帰ったのが12時半ごろだったのでそのまま寝てしまって、翌7日の昼頃から編集開始。一通りつなぎ終えてから、夜に音楽をお願いしていたIMOさんのうちに行って、音楽の素材を受け取る(音楽も発注してから3日というハイスピードで作ってもらった。感謝。)。それから作品に対するIMOさんの意見を聞いて、あるシーンでの音処理を変更することにする。
●帰宅後、徹夜で編集の続き。深夜、ようやく作品のタイトルも決定(タイトルがなかなか決まらなくて、それまでずっと仮タイトルのままだった)。8日の朝に編集が終わり、その日は月に一度職安に行かなければならない日だったので、職安に行き、帰って昼頃から一旦睡眠をとって、夜、新宿で無事に納品を済ませる。


●というわけで、新作『midsummer boat』が完成しました。(このタイトルにはちょっとした仕掛けが隠されているのだけど、それは作品のオープニングを見てもらえばわかります)。真夏の暑さ、ダルさ、ゆるい感じが出てるかと思います。(撮影中ホントに暑かったわけだけど)
●『LMF』がサイレントの作品で、イメージだけでいかに面白く見せられるかにチャレンジした内容だったので、今回は音にこだわって作ってみました。ちょうど、バウスシアターでの岸野雄一さんのトークを聞いたりして、映画における音について考えたりしていたので。ぼくのこれまでの作品はセリフが極端に少なかったりするのだけど、今回はボートの上という動きの制約されたシチュエーションにおける会話劇で、ここまで会話中心の作品を撮るのは初めてのこと。画面サイズが16:9のワイド画面で撮影するのも初めての挑戦で、(製作スケジュールも含め)いろいろとチャレンジングな作品になってます。でも、作品の内容が一番チャレンジングかな。まあ、ちょっとした問題作ではあるかと思います。(ついて来てくれたキャスト/スタッフにもう一度感謝)


●今夜はこれから知り合いの監督の撮影に参加してきます。途中で寝そうな気がするのだけど。。。